こんにちは、Hushijimです。
業界では当たり前のことでも、知らない人にとっては新鮮に思えることってありますよね。
今回はそんな小ネタです。
縫製の現場では商品に針が混入するのは厳禁。
取引停止になってもおかしくない重大な事態です。
なので私が勤めていた会社ではポケット付けなどの一部の工程を除いて
縫う時はまち針は使いませんでした。
針箱を各自手元に持ってはいましたが、まつり用の縫い針が1本、鈴のついたまち針が1本のみと決まっていました。
始業時と終業時には本数をチェックするのがルール。
それぐらい針の扱いには神経を使っていましたが、
どうしても起きてしまうのがミシン針の折損でした。
少し無理をして生地を引っ張ったり、
糸が絡まったりするとボキッといってしまうことがあるのです。
折れた針がすぐに見つかれば良いのですが、針の一部が飛んでしまうこともしばしば。
その針の一部を自分の身の回りを探しても見つからない場合・・・
そのフロアにいる全員が手を止めて探します。
コンタクトより小さい数ミリの欠片のために!
数十人が床にしゃがみ込みます・・・
なかなか見つけられず諦めかけた頃、
かなり離れた場所から「これですか〜??」なんて見つかることもありました。
こんなところまで飛ぶのかと驚きましたね。
しかし、毎回必ず見つかるというわけではありません
必死に探しても見つからない場合は、針の混入の可能性のある商品が
検品の担当者に伝えられ、いつも以上に念入りに検針が行われます。
とにかく小さな針一本が大変な事態を引き起こすと身に沁みて学びました。
今でも針が折れた時は焦ります。
欠片が見つからなかったりしたら、しばらくどんよりしてます。
そんな経験から今でもまち針は極力使わないで済むよう、
まずは型紙を作る時点で工夫するよう意識しています。
そして制作で仮止めする必要がある場合はクリップを使うようにしています。
あの時の経験が今の物づくりに活かされている、そんな話でした。

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